会員の声 なぜ年齢をきくの?
なぜ年齢をきくの?
●年齢をハカリに私を見ないで
「なぜ年齢をきくの」。1975年の伊勢丹百貨店のキャッチコピーだ。当時私は、東京で広告代理店に勤務しながら、銀座にあったコピーライター養成講座に通っていた。そこで、このコピーが教材の一つとなった。つくったのは、当時著名なコピーライターだった土屋耕一さん。このキャッチコピーのあとに、次の文が続く。「ただなんとなく、あるいは興味本位で、すぐ、女性の年齢をききたがる人が多いけれど、女性の生き方とか、美しさとか、それを、トシという枠のなかで見たがる人に抗議したいなあ」。さらに、伊勢丹は、そうした枠を取り払ったデパートです。という文言が続く。デパートの宣伝文としては画期的な表現だったが、作家の富岡多恵子さんは「なぜ、年齢をきかれることが嫌なのか?そこには『若く見られたい』という潜在的な意識があるのではないか」と問いかけた。鋭い指摘で、そこからまた、女性たちの間で議論が始まったが、それほどにインパクトの強いキャッチコピーだったのだ。
●1975年、50年前の女性たち
この広告がつくられた1975年は、国連が女性の地位向上を目指した国際婦人年 (後に国際女性年と改称)とすることを宣言。メキシコシティで国連の後援で第1回世界女性会議が開かれ、女性の地位向上のための「世界行動計画」が採択された。日本では市川房枝、田中寿美子らによって「国際婦人年をきっかけに行動を起こす女たちの会(行動を起こす女たちの会)」が 発足。60年代終わりに始まったウーマンリブ運動に共感し、さらに性差別社会を変えようと、具体的な行動を起こした。テレビCM「わたし作る人・ボク食べる人」を男女役割分担を固定化するものと告発した結果、ハウス食品は放送中止を決定。また、日本女子登山隊の田部井淳子さんが女性では世界初となるエベレスト登頂に成功。小林則子さんが、ヨットリブ号で太平洋単独横断、女性単独ヨット最長記録をつくった。などなど、女性の活躍や性差別社会への抗議が大きな行動につながった年だった。
●2024年、今の私たち
さて、1975年からほぼ50年の歳月を経た現在。私たち女性を取り巻く環境はどう変わったのか。当時のダイナミックな動きと比べて、なんと閉塞的な時代を生きていることかと嘆息してしまう。この50年の間、女性たちの地道な活動によって、男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法、DV防止法、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律などの法律ができ、前進した側面はあるが、性別にとらわれず、年齢にとらわれず、自由に生きることができる社会はまだ遠い。何より、今の社会そのものが、生きづらさを助長する時代なのだ。
「なぜ年齢をきくの」だけでなく「なぜ既婚か未婚かをきくの」「なぜ男性と同じ賃金にならないの」「なぜ自由に生きられないの」「なぜ性別をきくの」。女性も男性も、私たちを縛る枠はまだまだ多い。
ウィメンズネット旭川 勝浦恭子
2024年9月「グラフ旭川」に掲載